企業は毎年決算書を作成します。
決算書は「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュ・フロー計算書(CF計算書)」の財務3表で構成されています。(※大企業はCF計算書の作成が義務付けられています)
キャッシュ・フロー計算書(以下CF計算書)は、会社の「資金」の流れを表しています。
しかし、CF計算書は見慣れていない人にとって文字と数字ばかりでどこを見ればよいのか分かりません。
まずは、CF計算書の全体感を把握するために構造を理解する必要があります。
◇営業CF
会社の本業での稼ぎを表します。損益の項目、運転資金の増減の項目が加算されます。
事業が好調なら+(プラス)になります。<+の方が◎>
◇投資CF
設備投資やM&Aなどの将来の収益のための投資を表します。
成長している会社は-(マイナス)になります。<-の方が◎>
◇財務CF
他人資本(借入金etc)や自己資本(増資etc)、配当金など、銀行や株主との関係性を表します。
資金調達をしていれば+(プラス)、借入金を返済していれば-(マイナス)になり、
業績が良ければ基本的に-(マイナス)になります。<-の方が◎>
CF計算書の中でも営業CFが最も重要です。
営業CFの表示方法には「直接法」と「間接法」の2パターンがあります。
◇直接法
主要な取引ごとに総額を記載するため、営業活動によるキャッシュの内訳と収入や支出の流れが細かく把握できます。
営業収入と仕入支出の総額を別々に表し、相殺はしません。
【メリット】取引ごとの金額とキャッシュの流れが一目で分かる点
【デメリット】必要資料が多いため作成が大変な点
◇間接法
営業活動によるキャッシュの動きを、損益計算書をもとに税引前当期純利益の金額から各費用や収益を増減して計算して作成します。
営業CFの内訳は直接的には分かりませんが、利益と営業CFがズレている理由が示されています。
【メリット】B/SやP/Lのデータを使用するため作成が簡単な点
【デメリット】取引ごとの内訳が分からない点
国際会計基準の特徴として、投資家保護、経済実態の重視、表示上も貸借対照表とCFの重視、が挙げられます。
しかし、日本の会計基準は統一されていません。
商法は債権者保護、金融商品取引法は投資家の意思決定に有用な情報提供、会計実務は法人税法に基づいた課税の公平、というように、異なる目的をひとつの財務諸表で表すことに無理があります。
上場企業は2000年より、CF計算書の作成が義務づけられてきました。
しかし、中小企業にCF計算書の作成を義務づけていません。CF計算書から、戦略のスタイルとトレンドを読み取ることができます。従って中小企業の経営者にも自らの信用力を金融機関に説明するためにCF計算書の理解は必要だと思われます。
損益計算書は発生主義の原則に基づき企業の利益の源泉を段階的に捉えた計算書です。
CF計算書は現金主義により企業の資金の動きを活動別に捉えた計算書で、直接法と間接法があります。(但し現行のCF計算書は間接法を採用しているケ-スが多いです。)
貸借対照表は取得原価主義に基づき資産と負債・資本を対照表示したもので資金繰りの実態をつかめません。
上記の理由により当事務所では、直接法のCF計算書を提供するとともに、資金の改善に役立つ運転資金計算書も合わせて提供しています。
会社の債務弁済能力と外部資金調達の必要性を判断するとともに、資金収支決算書で資金の安定化を図るアドバイスを行っています。